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三友地価予測指数(2015年3月調査)

商業地:東京圏と大阪圏の上昇ピッチは変わらず、名古屋圏は上昇ピッチが強まる。

 商業地指数の「現在」は東京圏が71.2、大阪圏が65.7、名古屋圏が69.5と、東京圏と大阪圏が前回の水準(東京圏70.3、大阪圏66.6)からほぼ横ばいであるのに対し、名古屋圏は前回の水準(64.3)を大きく上回った。ただし、「先行き」は東京圏が62.1、大阪圏が57.4、名古屋圏が55.5と、いずれも現在よりは慎重な見方が強まっている。

 東京圏では2020年にオリンピックの開催を控え、品川・渋谷等の主要エリアでは大型の再開発事業が進行中であり、今後数年間で都市の街並みは大きく変わる。しかし、半年程前から「投資利回りは底を打った」と言われるように、外資系ファンド等による国際都市「東京」への投資熱は既にピークを過ぎた感もある。今回の調査結果は、世間一般の景気の好況感に対し、投資マネーの足の速さに対する警戒感が釘を刺したものと考えられる。

 大阪圏では梅田エリアへの一極集中化傾向が顕著であるが、梅田自体の繁華性はほぼピークに達しているとの見方もできる。これに対して、心斎橋・なんば・天王寺等の他の商業エリアがやや伸びあぐねている印象は否めず、全体としては前回と同程度のイメージになったものと考えられる。

 一方、名古屋圏では2027年のリニア中央新幹線の開業計画を受け、名駅エリアを中心に大型の再開発事業が目白押しである。同新幹線の大阪圏への延伸は、現時点では2045年が予定されているため、この間に大阪圏に対して名古屋圏が優位に立つ可能性もある。

住宅地:東京圏は上昇ピッチが鈍化、大阪圏は変わらず、名古屋圏は上昇ピッチが強まる。

 住宅地指数の「現在」は東京圏が64.9、大阪圏が63.0、名古屋圏が69.5と、東京圏は前回の水準(70.3)を大きく下回った。大阪圏はほぼ横ばい(前回は62.5)、名古屋圏は大きく上回った(前回は64.3)。「先行き」は東京圏が55.5、大阪圏が55.6、名古屋圏が52.7と、商業地と同様に現在よりも慎重な見方が強まっている。

 前回の調査では、三大都市圏の上昇ピッチは軒並み前々回の調査結果を下回っており、全国的に消費増税に伴う駆込み需要の反動が見受けられた。しかし、今回の調査では東京圏だけが前回の結果を下回っている。円安を契機とした外国人富裕層によるマンションの高値買いが落ち着きつつあることや、レジデンス系ファンドの開発意欲もピークを過ぎた感があることなどが考えられる。ただし、指数自体は強気・弱気の分かれ目である50.0を大きく上回っており、地価が依然として上昇傾向にあることに変わりはない。

 大阪圏では、主要各駅や郊外型商業施設に近い優良住宅地とそれ以外の住宅地との間において二極化現象が顕著である。マンションの引き合いはやや弱まった感もあるが、上昇ピッチは前回と同程度に留まった。

 名古屋圏は、名駅エリアを核とする商業地の発展に伴って今後も人口は増える見込みである。既に優良住宅地では供給不足から高値取引が増えており、しばらくは強含みの状態が続くものと考えられる。

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