商業地:東京圏よりも大阪圏が、大阪圏よりも名古屋圏の上昇ピッチが強まる。
商業地指数の「現在」は、東京圏が78.4、大阪圏が78.2、名古屋圏が81.8となりました。前回との比較では、東京圏は76.5からやや上昇、大阪圏は73.2から上昇、名古屋圏は70.0から大きく上昇しています。ただし、「先行き」は東京圏が61.4、大阪圏は62.9、名古屋圏も68.2と、いずれも現在より慎重な見方が強まっています。
2017年は、海外投資家による国内不動産の取得額が前年の約3倍と、3年ぶりに過去最高を更新する結果となりました。レバレッジに依存した不動産市場を不安視する声もありますが、東京都内Aクラスビルの取引利回りは依然としてリーマンショック前のミニバブル時を下回る過去最低水準を維持しています。政権の安定や金融政策の継続決定も追い風となって、国際都市「東京」への投資意欲はますます高まっています。
一方、これまで成長を続けてきた国内リート市場ですが、2017年は取得額が前年実績を約25%下回っています。海外勢の高値買いが利回り水準を押し下げた結果、安定した配当(分配金)を要求されるリートとしては「買うべき物件を買い切れない状況」に陥ってしまった可能性があります。また、これまで地方銀行等が積極的に投資してきた非上場リート(私募リート)も2017年は取得額を減少させています。投資家の中には企業業績の回復に伴う賃料の値上げを期待する声もありますが、東京圏に限れば2020年に向けて大型ビルの大量供給が続くため、賃料の上昇は期待しにくい状況となっています。
今回の調査結果では、東京圏よりも大阪圏や名古屋圏の上昇ピッチが大きく、特に名古屋圏の上昇ピッチは大阪圏のそれをも大きく上回っています。これは、東京圏での高値買いを嫌った投資マネーが大阪圏に流れ込んだ結果、大阪圏でもAクラスビルの取引利回りが3.0%台まで低下し、今度は大阪圏での高値買いを嫌った投資マネーが名古屋圏に向かっている証拠なのかもしれません。
住宅地:商業地と同様に、名古屋圏の上昇ピッチが東京圏や大阪圏を上回る。
住宅地指数の「現在」は東京圏が69.6、大阪圏が66.2、名古屋圏が77.3となりました。前回との比較では、東京圏は66.0から上昇、大阪圏は62.0から上昇、名古屋圏は65.0から大きく上昇しています。ただし、「先行き」は東京圏が57.4、大阪圏は54.8、名古屋圏も63.7と、いずれも現在より慎重な見方が強まっています。
人口減少社会にもかかわらず、三大都市圏では住宅地でも上昇ピッチが強まっています。住宅地の指数にはエンドユーザーのマイホーム需要以外にレジデンス系ファンドの投資需要も反映されるため、名古屋圏における上昇ピッチの強まりは商業地と同様に投資マネーの動向によるものと考えることができます。また、名古屋駅周辺では再開発事業が一段落し、リニア効果で高騰するマンション価格が地価を牽引している可能性があります。
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