商業地:東京圏で上昇ピッチが強まる。大阪圏もやや強まっているが、名古屋圏はやや弱まる。
商業地指数の「現在」は、東京圏が75.0、大阪圏が75.8、名古屋圏が72.5となりました。前回との比較では、東京圏が68.7から上昇、大阪圏も74.9からやや上昇したのに対し、名古屋圏は75.0からやや下落しています。また、「先行き」は東京圏が57.3、大阪圏が63.3、名古屋圏が57.5と、いずれも現在より慎重な見方が強まっています。
不動産市場では、ピークアウト感はあるものの、依然として息の長い踊り場が続いています。昨年の前半には過熱した不動産市場を不安視する声も聞かれましたが、後半はマイナス金利が追い風となって小口投資家等を中心に大量の資金が不動産市場に流入する結果となりました。今回の調査結果では、東京圏での上昇ピッチが他の圏域よりも強まっています。これは、東京圏はこうした市場の動向に真っ先に反応するエリアであり、他のエリアは若干のタイムラグを置いて東京圏と同様の動きを示すことになるからだと思われます。そして、このタイムラグは大阪圏の方が名古屋圏よりも短いと考えることができます。
全体的に強含みの取引が続いているのは事実ですが、物件の選別能力やリスク回避能力が高まっていることもあり、価格が高いなりに市場は安定しています。今後、金利の問題や外交上の懸念等の不安材料が市場に悪影響を及ぼす可能性はありますが、2020年に向かって国全体が上昇機運にある中、その土台でもある不動産市場が急に冷え込むとも思えません。ただし、2020年に向かう大きな潮流の中で、個別の経済事象がどのタイミングで、どの程度市場に影響を及ぼすのかは非常に読みづらい状況となっています。大きな流れに身を任せすぎていると、2020年以降にその反動が出ることにもなりかねません。これからの3年間は過剰投資に陥らないように留意するとともに、2020年以降の土地や建物の有効利用を考えた街づくりを行うことが重要になってきます。
住宅地:圏域別の動向は商業地と同様であるが、東京圏でも上昇幅は商業地よりも小さい。
住宅地指数の「現在」は東京圏が67.0、大阪圏が65.9、名古屋圏が67.5となりました。前回との比較では、東京圏が65.6からやや上昇、大阪圏も63.6からやや上昇したのに対し、名古屋圏は70.0からやや下落しています。また、「先行き」は東京圏が53.0、大阪圏が56.7、名古屋圏が55.0と、いずれも現在より慎重な見方が強まっています。
住宅ローンの申込件数がピーク時の半分以下に減っていますが、これは金利の低下に伴う借換え需要が一巡したことによるものです。住宅ローンに代わる融資手段として、最近はリバースモーゲージが増えているという話も聞きます。また、今後は再来年の消費税再増税を睨んだ駆込み需要が顕在化していく可能性もあり、その動向を注視する必要があります。なお、戸建住宅に関しては高齢化に伴う地価の二極化や空き家の問題がどの程度解決の方向に向かうのか、マンションに関しては外国人投資家の売り抜けの動き等に引き続き注意が必要です。
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