商業地:東京圏の上昇ピッチは強まっているが、大阪圏と名古屋圏では弱まる。
商業地指数の「現在」は、東京圏が76.5、大阪圏は73.2、名古屋圏は70.0となりました。前回との比較では、東京圏が75.0から上昇したのに対し、大阪圏は75.8から下落、名古屋圏も72.5から下落しています。また、「先行き」は東京圏が63.3、大阪圏は56.8、名古屋圏は60.0と、現在より慎重な見方が増えています。
不動産市場では、取引利回りは依然としてリーマンショック前のミニバブル時の水準を下回る過去最低水準を維持しています。しかし、チャイナショックや円高基調の為替相場の影響もあり、2016年は海外資本による国内不動産の取得額が大幅に減少しています。総額ではアベノミクス開始前の2012年の水準をも下回っており、これまで市場を牽引してきた海外資本の今後の動向に注目が集まっています。
一方、Jリートや私募リートは、2016年も取得額を増加させています。リートの場合は、市場との直接取引よりもグループ内のウェアハウジングファンドから物件を取得することが多くなりますが、運用資産残高の拡大はマイナス金利で行き場を失ったマネーが今も不動産に向かっていることの証でもあります。ただし、最近のリートは財務の健全性や日銀の買入銘柄か否か等によって、本来のファンドの実力以上に格差が開いている感もあります。
20日に発表された都道府県地価調査において、商業地は全国平均でも2年連続の上昇を記録しています。景気が緩やかな回復基調にあることに加えて、2020年に向けての再開発需要等が地価の押上げ要因となっています。一度はピークアウトしたはずの不動産市場ですが、今後は二度目のピークアウトに向けてその動向を注視していく必要がありそうです。
住宅地:三大都市圏の上昇ピッチは弱まっているが、地方圏では強まる。
住宅地指数の「現在」は、東京圏が66.0、大阪圏は62.0、名古屋圏は65.0となりました。前回との比較では、東京圏が67.0からやや下落、大阪圏は65.9から下落、名古屋圏も67.5から下落しています。一方、三大都市圏を除く地方圏は70.0と、前回の65.5から上昇しています。なお、「先行き」は東京圏が59.0、大阪圏は56.1、名古屋圏は57.5、地方圏は59.5と、現在より慎重な見方が増えています。
地方都市の駅前ではマンションを中心としたコンパクトシティ化が進み、郊外ではショッピングセンターを核とした土地区画整理事業等が行われています。全体としては局所的な動きですが、今回の調査結果ではこうした優良住宅地の整備状況が指数にも反映されたように思います。一方、全国的な二極化の波は戸建市場にとどまらず、最近は賃貸市場にも広がっています。例えば、政令指定都市(人口が50万人以上の市)を除く郊外バス便の地域等では、見た目の入居率こそ変わらないものの、実際には近くの工場等に勤務する外国人労働者の割合が非常に高いものとなっているケースもあります。
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