商業地:東京圏や名古屋圏よりも大阪圏の上昇ピッチが大きく強まる。
商業地指数の「現在」は、東京圏が79.4、大阪圏が83.3、名古屋圏が80.8 となりました。前回との比較では、東京圏は79.2 からやや上昇、大阪圏は79.2 から大きく上昇、名古屋圏は78.9 から上昇しています。ただし、「先行き」は東京圏が59.6、大阪圏は63.0、名古屋圏も63.5 と、いずれも現在より慎重な見方が強まっています。
東京のオフィス市場では、2018 年から2020 年にかけての大量供給の影響が懸念されていましたが、ここにきて「需給は今後も安定的に推移する」との見方が強まっています。例えば、「渋谷ストリーム」は米系IT企業が一括借り、「大崎ガーデンタワー」には国内ゲーム会社が拠点を集約、ワンテナントの大手商社が退去した「晴海トリトンスクエア」でも後継テナントが決まりました。企業業績が好調な割には賃料の上昇は緩やかですが、空室率に関しては著しい低下傾向が続き、都心5 区の大型ビルに限れば2.0%を切っています。
一方、大阪や名古屋のオフィス市場では、今後も新規の供給は限られています。大阪では2022 年の「大阪梅田ツインタワーズ・サウス」、名古屋では2019 年の「(仮)鹿島伏見ビル」等が竣工予定ですが、大阪ではオフィス用地がホテル用地と競合するケースも多く、土地の供給不足から賃料の上昇圧力が強まっています。また、名古屋では栄エリアの再開発事業が着手され、先行する名駅エリアにどこまで迫れるのかが注目されています。
今回の調査で上昇ピッチの強まりが目立った大阪では、2025 年に万博の開催が決定しています。また、その前年の2024 年夏には「うめきた2 期」計画が街開きを予定しています。「うめきた1 期」計画は2013 年に「グランフロント大阪」として開業し、大阪・梅田の人の流れを劇的に変えたといわれますが、2 期計画では都市公園や医療施設等の配置も予定されており、これまでにない都市機能が創出されることになりそうです。今回の調査結果には、大阪の人々の「うめきた2 期」計画への期待が込められているように思います。
住宅地:商業地と同様に大阪圏の上昇ピッチが大きく強まる。
住宅地指数の「現在」は東京圏が69.8、大阪圏が70.5、名古屋圏が78.9 となりました。前回との比較では、東京圏は67.2 から上昇、大阪圏は66.4 から大きく上昇、名古屋圏は80.8 から下落しています。ただし、「先行き」は東京圏が52.2、大阪圏は57.6、名古屋圏も65.4 と、いずれも現在より慎重な見方が強まっています。
コンパクトシティ化に伴う中心部への回帰現象が全国的に強まっています。この数年はマンション価格の高騰が顕著でしたが、さすがに上がりすぎたのか、ここにきて売れ行きが鈍ったエリアもみられるようになりました。また、中心部の戸建住宅地では画地の細分化が進んでおり、総額的な観点から単価の上昇傾向が顕著なものとなっています。なお、大阪では「うめきた」効果が住宅地にも波及している模様です。
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