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三友地価予測指数(2018年9月調査)

商業地:地価の上昇ピッチは東京圏と大阪圏でさらに強まるも、名古屋圏では弱まる。

 商業地指数の「現在」は、東京圏が79.2、大阪圏も79.2、名古屋圏は78.9となりました。前回との比較では、東京圏が78.4からやや上昇、大阪圏も78.2からやや上昇したのに対し、名古屋圏は81.8から下落しています。また、「先行き」は東京圏が63.2、大阪圏は65.3、名古屋圏は59.6と、いずれも現在より慎重な見方が増えています。

 2018年は、海外資本に昨年ほどの勢いがなく、その分、昨年落ち込んだJリートが不動産の取得額を増加させています。東京のオフィス市場では、昨年の約2倍の新規供給が予定されていますが、最近は既存ビルの二次空室に対するリーシング活動が早まっていることもあり、今のところ空室率は落ち着いています。また、最近は好調な市況を反映して定期借家契約が増えており、法定更新(継続賃料)とは異なる再契約(新規賃料)に際して賃料が値上げされる事例も増えています。ただし、2020年まで大量供給が続く市況下では潮目が変わる可能性も否定はできず、オフィス市場からは目が離せない状況となっています。

 大阪では、2018年に竣工する大型ビルは「なんばスカイオ」のみと、東京とは違ってオフィス市場は非常にタイトな状況となっています。これは、関西では訪日外国人観光客の増加率が高く、ホテル等の宿泊施設の建設ラッシュがオフィスビルの新規供給にも影響を及ぼしています。このような市況下において、Aクラスビルはどこも満室状態となっており、テナント企業間の空室確保競争はますます激化しています。
再開発事業が一段落した名古屋では、大型ビルの新規供給は当面予定がなく、最近はリニア中央新幹線工事に伴うテナント企業の立退きにより、名駅周辺では移転需要が強まっています。

住宅地:地価の上昇ピッチは東京圏で弱まり、名古屋圏で強まる(大阪圏では横ばい)。

 住宅地指数の「現在」は、東京圏が67.2、大阪圏は66.4、名古屋圏は80.8となりました。前回との比較では、東京圏が69.6から下落、大阪圏は66.2からほぼ横ばい、名古屋圏は77.3から上昇しています。また、「先行き」は東京圏が52.9、大阪圏は57.7、名古屋圏は61.6と、いずれも現在より慎重な見方が増えています。

 2018年は女性専用のシェアハウス業者が経営破綻し、多くのサラリーマン大家がデフォルト状態となりました。金融庁が警鐘を鳴らしたこともあり、金融機関(主に地方銀行)はアパートローンに対する融資姿勢を硬化させています。最近は「融資額は売買代金の70%まで」とされることが多く、頭金のない人に対するフルローンや、売買代金に加えて不動産を取得する際の諸費用まで融資するオーバーローンは影を潜めています(金利も多少は上がっています)。しかし、市場には既に大量のアパートが供給されており、今後は賃料や利回り以上に「長期的な空室率」の見極めが重要なポイントとなりそうです。

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