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新型コロナウイルスの感染拡大は不動産市場をどのように変えるのか?三友地価予測指数(2020年6月緊急調査)

商業地:新型コロナウイルスの感染拡大が商業地の地価に及ぼす影響は甚大なものとなる。

 新型コロナウイルスの感染拡大は世界中に拡大していますが、特に、日本は莫大な経済効果が見込まれていた東京オリンピックが史上初めて延期される等、前代未聞の経済アクシデントに見舞われています。今回の緊急調査において、商業地指数の「現在」は東京圏が47.6、大阪圏は40.2、名古屋圏は25.0となりました。僅か3ヵ月前の調査では東京圏が83.9、大阪圏は73.2、名古屋圏は84.4でしたので、新型コロナウイルスの感染拡大とこれに伴う緊急事態宣言の発令は、本調査上は全国の商業地の地価に甚大な影響を及ぼしたことになります。さらに、「先行き」は東京圏が27.5、大阪圏は22.3、名古屋圏は17.9と、いずれの圏域でも地価は大きく下落する可能性が高まっています。

※ 本レポートは「ダイヤモンド・オンライン 「半年後の地価」先行公開!不動産鑑定士71人の調査結果in東京・大阪・名古屋・福岡」にて紹介されています。

 不動産市場は、これまでにも二度ほど大きな経済ショックを経験しています。1つ目は、1990年代前半のバブル崩壊で、この時は土地神話の消滅とともに地価は最大で10分の1程度まで下落したと言われます。2つ目は、2008年のリーマンショックで、この時は不動産ファンドの撤退とともに地価は概ね半値になったと記憶しています。いずれのケースでも、過熱した金融市場でのリスク管理の甘さが引き金となっているわけですが、今回のコロナショックは金融市場の外側で発生している点でこれまでの経済ショックとは大きく様相が異なります。

 新型コロナウイルスの感染拡大による社会的混乱は、遅かれ早かれ、ワクチンの開発とともに収束するでしょう。しかし、地球温暖化が様々な自然災害を引き起こしている近年の状況下では、今後も新種のウイルスが発生しないという保証はありません。そう考えると、現在行われている在宅勤務やリモート・ワーク等は単なる経過措置ではなく、企業のリスク管理として今後も定着することが予想されます。そうなれば、高い賃料や固定資産税を払ってまで大都市圏にオフィスを構えることの重要性は薄れ、オフィス市場でも店舗市場と同じように大都市離れが進むことになりそうです。

住宅地:在宅勤務やリモート・ワーク等の普及はこれまでの住宅地の相場を塗り替える。

 住宅地指数の「現在」は東京圏が42.0、大阪圏は44.6、名古屋圏は39.3となりました。僅か3ヵ月前の調査では東京圏が70.9、大阪圏は64.3、名古屋圏は81.3でしたが、本調査上は住宅地でも商業地と同様にリーマンショック以来の低い数値が記録されています。さらに、「先行き」は東京圏が27.4、大阪圏は28.6、名古屋圏も28.6と、いずれの圏域でも地価はかなり下落する可能性が高まっています。

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う在宅勤務やリモート・ワーク等の普及は、住宅地の地価にも大きな影響を及ぼすことになります。この数年はオフィスが集積する大都市の近辺で賃貸マンションが供給されてきましたが、今後はオフィスから遠くても賃料の安い物件を選ぶ人が増えてきそうです。分譲マンションや戸建住宅に関しても同様で、通勤圏やベッドタウンといった従来の概念は薄れ、より自然環境の豊かな場所が好まれることになりそうです。

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