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三友地価予測指数(2023年9月調査)

商業地:東京圏と名古屋圏がほぼ横ばいであるのに対し、大阪圏では地価の上昇機運が高まっている。

 商業地指数の「現在」は、東京圏が80.9、大阪圏は78.1、名古屋圏は79.2 となりました。前回との比較では、東京圏と名古屋圏がほぼ横ばいであるのに対し、大阪圏は74.2 から上昇しています。「先行き」に関してはいずれの圏域でも慎重な見方が多いですが、大阪圏での上昇は2年後の大阪・関西万博を見据えているものと思われます。

 新型コロナウイルスの感染法上の分類が5 類に引き下げられ、主要都市の街中は大勢の外国人観光客で賑わうようになりました。しかし、コロナ禍で定着したリモート・ワークやWEB会議等は今も行われており、オフィス市場ではコロナ禍で上昇した空室率や下落した賃料が回復する目途は立っておりません。特に、東京では今年だけで約45万坪ものオフィス床の新規供給が予定されており、ハイスペックな大型ビルの竣工に伴って既存のビルではテナントの移転に伴う二次空室の発生リスクが高まっています。実際に「麻布台ヒルズ」や「虎ノ門ヒルズステーションタワー」等の竣工に伴って都心部の空室率は上昇しており、直近では賃料の見直しやキャンペーン等を行うビルが増えています。

 他のアセットでは、コロナ禍で大きな被害を受けたホテル市場の回復傾向が鮮明なものとなっています。日本を代表する観光地である京都では、宿泊者数に占める外国人観光客の割合が3 割程度まで回復しています。しかし、今後は中国からも団体旅行客が戻ってきますので、逆に人手不足の問題が深刻化するおそれもあります。また、コロナ禍でも好況が続いた物流業界は、ドライバーの残業時間が規制されることに伴う「2024年問題」に直面します。来年以降、これまで提供し続けてきた物流サービスの質が低下するようなことがあれば、長らく苦戦が続いた実店舗への回帰が始まり、商業地の地価に大きな変動が生じる可能性もあります。

住宅地:東京圏と名古屋圏はほぼ横ばいであるが、大阪圏の住宅地では商業地と異なり上昇幅が弱まる。

 住宅地指数の「現在」は、東京圏が79.6、大阪圏は70.5、名古屋圏は79.2 となりました。前回との比較では、東京圏と名古屋圏がほぼ横ばいであるのに対し、大阪圏は72.7 からやや下落しています。この数年、大阪では周辺部から大阪市への人口流入が続きましたが、住宅地における万博効果は一段落したのかもしれません。

 コロナ禍の最中、首都圏では駅に近いマンションから郊外の戸建住宅へと需要がシフトしましたが、我々の勤務形態に大きな変化がない以上、この傾向は今後も続くことになりそうです。一説によれば、車の自動運転技術が進化すれば郊外へのシフトはさらに加速するとの見方もあります。首都圏では新築マンションの平均分譲価格が1億円を超えてしまいましたが、郊外部には平均的なサラリーマン世帯でも購入が可能な新時代のデジタル住宅が増えることを願っています。

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