商業地:三大都市圏でも地価は引き続き下落傾向にある。
商業地指数の「現在」は、東京圏が43.4、大阪圏は30.6、名古屋圏は34.6となりました。前回との比較では、東京圏が44.1からやや下落、大阪圏は35.7から下落、名古屋圏は33.4からやや上昇していますが、いずれの圏域でも指数は50.0(横ばい)を下回っており、地価が下落傾向であることに変わりはありません。
コロナ禍でも株価は上昇を続け、投資法人に言わせると不動産価格(期末評価額)も下がってはいないそうです。しかし、実際の不動産市場では、ホテルや飲食店を中心に被害は拡大する一方です。東京でも、長年続いた老舗の料亭が閉店したり、誰もが知る名門ホテルの廃業が決まっています。また、病院でも小児科の稼働率は50%程度まで下がっている模様です。
国内でもワクチンの接種が開始され、長かったコロナ禍もようやく出口が見えてきたようにも思われます。しかし、接種に要する時間、副作用のリスク、ワクチンに対してウイルスが再変異する可能性等を考えると、コロナ禍で変化した勤務形態や生活習慣が急に元に戻るとは思えません。景気の問題に関しても、今の株価上昇は政府の補助金に支えられたものであり、補助金が尽きる1~2年後にはさらに深刻な不況が訪れ、大幅な地価下落が起きる可能性も否定はできないのです。もっとも、資金繰りに窮した事業体が資産の流動化を決意すれば、新規に証券化される不動産は増えるかもしれません。しかし、これまで証券化が遅れていた分野で優良不動産の証券化が進めば、それは既存の証券化不動産の利回りを圧迫することになるでしょう。
今回の調査結果では、小規模飲食店が全国的に大きなダメージを受けているのに対し、大規模商業施設の客足は通常時に近い水準を維持していることがわかりました。ただし、これまでホテル用地としての需要が地価を牽引してきた地域では、地価は軒並み下落に転じている模様です。
住宅地:下落傾向が続いてはいるが、下落幅は商業地よりも小さい。
住宅地指数の「現在」は東京圏が48.7、大阪圏は45.4、名古屋圏は46.2となりました。前回との比較では、東京圏が47.4からやや上昇、大阪圏は48.2から下落、名古屋圏は47.9からやや下落しています。商業地と同様に、いずれの圏域でも指数は50.0(横ばい)を下回っており、地価は下落傾向が続きますが、下落幅は商業地よりは小さなものとなっています。
今回の調査結果では、全国的に優良住宅地は大きな影響を受けていないことがわかりました。しかし、それ以外の住宅地では地価の下落が続き、コロナ禍は二極化傾向に拍車をかけたようにも思われます。ただし、雇用環境や所得水準の変化は、こうした住宅地に対して新たな需要を喚起することになるのかもしれません。
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