商業地:三大都市圏及び地方圏で地価は引き続き上昇傾向にある。
商業地指数の「現在」は、東京圏が81.6、大阪圏は74.2、名古屋圏は79.6となりました。前回との比較では、東京圏が72.7から上昇、大阪圏は60.9から上昇、名古屋圏は74.9からやや上昇しています。また、「先行き」は東京圏が66.1、大阪圏は67.8、名古屋圏は61.4と「現在」より低下していますが、いずれの圏域でも指数は50.0(横ばい)を上回っており、地価が上昇傾向であることに変わりはありません。
この半年間で政府及び日本銀行の政策は、これまでとはやや異なる政策に舵を切ったように思われます。
円安の大きな原因の一つとされてきた日米の金利差ですが、昨年末日銀の黒田総裁が長期金利の変動許容幅を0.5%に拡大する旨、発言すると、昨年円安が進行していた為替相場は大幅に円高方向に振れました。長期金利の上昇により、これまで量的かつ質的金融緩和政策により潤沢に市場に流れていた投資資金が投資先を選別、変更すれば不動産市況にとってはマイナスに作用するため、今後の金融政策の動向等が注目されます。
今回の調査結果では、新型コロナウイルス感染症問題の影響により、大きな打撃を受けたとされる飲食店、宿泊業等においても客足が戻りつつあり、店舗、オフィスでは市況が改善したとする声もみられ、その結果、全体としては前回よりも上昇した結果となりました。一方で、コロナ禍前の水準には未だ遠いという声も地方において多く聞かれています。
住宅地:三大都市圏及び地方圏で地価は引き続き上昇傾向だが、上昇幅は商業地よりも小さい。
住宅地指数の「現在」は東京圏が79.2、大阪圏は72.7、名古屋圏は79.6となりました。前回との比較では、東京圏が78.0からやや上昇、大阪圏は70.8からやや上昇、名古屋圏は80.4からやや下落しています。商業地と同様に、いずれの圏域でも指数は50.0(横ばい)を上回っており、地価は上昇傾向が続きますが、東京圏及び大阪圏における上昇幅は商業地よりは小さなものとなっています。また、「先行き」は東京圏が61.4、大阪圏は65.3、名古屋圏は59.2と「現在」より低下しています。
今回の調査結果では、前回と同様、全国的に優良住宅地は大きな影響を受けていないことがわかりました。しかし、それ以外の住宅地では地価の下落が続き、コロナ禍において更に二極化傾向が進行しているように思われます。また、政府は物価上昇率を超える賃上げの実現を目標に掲げていますが、既に2023年春闘において自動車大手等が満額回答する等の動きもあります。今後中小企業等にも実質賃金の増額の動きが広がれば、企業にとってはコスト増となる一方で、エンドユーザーである個人の可処分所得を押し上げ、住宅需要を創出することになるのかもしれません。
現在抜粋版を表示しております。さんゆう資料室会員の方はログインして頂くと完全版をご覧頂けます。 |
また、会員で無い方もさんゆう資料室会員(無料)のご登録を頂ければご利用頂けます。 |