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三友地価予測指数(2024年3月調査)

商業地:三大都市圏のみならず地方圏でも地価の上昇傾向が強まっている。

 商業地指数の「現在」は、東京圏が82.4、大阪圏は79.5、名古屋圏は81.8 となりました。前回は東京圏が80.9、大阪圏は78.1、名古屋圏は79.2 でしたので、三大都市圏はいずれの圏域でも地価の上昇傾向が強まっています。また、地方圏でも上昇傾向は70.0 から74.0 に拡大していますが、これはコロナ禍の終息に伴う外資系ホテルの進出等が影響しているのかもしれません。

 この数年、オフィス市場における大規模ビルの新規供給は東京に集中しており、それ以外の中核都市では需給関係が逼迫したタイトな状況が続きました。しかし、今年はいよいよ大阪でも大量供給が行われるほか、札幌、横浜、福岡等でも一定量の新規供給が予定されています。この結果、オフィス市場での需給バランスは全国的に改善し、テナントの競合等による賃料の上昇圧力はなくなり、空室率も5~6%の水準に落ち着くものと予測されています。

 しかし、盤石だったはずの東京のオフィス市場では少々異変が生じています。都心5 区で考えても、千代田区と渋谷区は堅調ですが、港区や中央区では空室率が上昇し始めています。昨年竣工した大規模ビルを例にとると、駅直結の「虎ノ門ヒルズステーションタワー」は満床ですが、駅接近性が劣る「麻布台ヒルズ森JPタワー」のテナント成約率は昨年時点で5割程度に留まっています。他にも、竣工後半年以上が経過しても成約率が5 割程度のビルが複数見受けられ、事業者の間では「造れば埋まる時代は終わった」との認識が広まりつつあります。また、欧米の利上げ等で損失を被った外資が買い手から売り手に転じたとの噂もあり、東京のオフィス市場はテナントと投資家の両面で予断を許さない状況となっています。

住宅地:東京圏は横ばい、大阪圏では上昇傾向が強まるが名古屋圏では弱まる。

 住宅地指数の「現在」は、東京圏が79.7、大阪圏は74.3、名古屋圏は75.0 となりました。前回は東京圏が79.6、大阪圏は70.5、名古屋圏は79.2 でしたので、大阪圏で上昇傾向が強まっているのに対し、名古屋圏では上昇傾向が弱まっています。これは、大阪圏では来年の大阪・関西万博に向けて都市公園等の街並みの整備が進められているのに対し、名古屋圏ではリニア中央新幹線への期待感がやや薄らいでいるのかもしれません。

 先日、東京では投資用マンションの価格が上がり続けていて、いわゆるキャピタル・ゲインの状態にあるという話を聞きました。おそらく、長期的な低金利と記録的な円安で海外の個人投資家からの引き合いが強まっているものと思われますが、金利が本格的な上昇局面に入れば投資熱は冷え込み、投資用マンション市場は大量のストックを抱え込んでしまうおそれがあります。また、そもそも日本は人口減少社会で、住宅に関しては郊外への分散化も認められますので、過度な新規供給は将来的に空室率の問題を顕在化させることになります。

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