商業地:東京圏では上昇機運が高まっているが、大阪圏と名古屋圏はややトーンダウン
商業地指数の「現在」は、東京圏が86.1、大阪圏は81.3、名古屋圏は75.0 となりました。前回との比較では、東京圏は84.6 から上昇しましたが、大阪圏は85.5 から下落、名古屋圏も80.0 から下落しました。また、トランプ関税による世界同時株安は不動産市場にとっても懸念材料であり、先行きに関してはより慎重な見方が強まっています。
2024 年の訪日外客数は約3,700 万人を記録し、コロナ前(2019 年)の約3,200 万人を大きく上回りました。また、訪日客による年間消費も8 兆円に達しており、観光立国としては大きな経済効果が得られています。また、2025 年は大阪・関西万博も開幕し、訪日外客数は当初の政策目標であった4,000 万人を突破する可能性が高まっています。
中核都市では再開発ビルの上層階に外資系ラグジュアリーホテルが誘致されることが多く、再開発事業の付加価値を高めるとともに街全体のイメージアップにも貢献しています。
オフィス市場でも空室率の改善が続き、東京都心5 区では一時7%台まで悪化していた港区や中央区も現在は5%台に落ち着いています。ただし、オフィス床に関しては2026 年に2023 年並みの大量供給が予定されています。
交通アクセスの優るビジネス街で大規模ビルの竣工が続けば、湾岸エリアの大規模ビルでは空室率が上昇し、賃料格差がさらに拡大するおそれがあります。この数年、湾岸エリアの大規模ビルではフリーレントが長期化していますが、今後は中途半端なリノベーションよりも抜本的なコンバージョンが必要になりそうです。また、最近はITや人材紹介等の分野でスタートアップ企業が増えていますので、中小ビルのリノベーション件数も増えるものと思われます。
住宅地:過熱感のあった東京圏と大阪圏は下落、下落が続いていた名古屋圏は再び上昇
住宅地指数の「現在」は、東京圏が78.8、大阪圏は76.8、名古屋圏は74.9 となりました。前回との比較では、東京圏は81.4 から下落、大阪圏も79.8 から下落、名古屋圏は72.5 から上昇しています。また、先行きに関しては商業地と同様にいずれの圏域でも慎重な見方が大勢を占めています。
商業地には大きな恩恵をもたらすインバウンドですが、住宅地ではオーバーツーリズムの問題が顕在化しています。住宅地ではもともと外国人居住者の問題がありましたが、最近は古くなったアパート等が民泊事業者に売却され、観光客による騒音やゴミ出し等の近隣トラブルが増えています。優良住宅地といえども、相続で売却を急ぐようなケースもあり、知らぬ間に民泊アパートが誕生するリスクを抱えています。そして、民泊アパートが増えた地域では、風評被害によって住宅地としての相場は下がることになります。また、首都圏を中心に闇バイトを使った強盗事件が多発した影響で、戸建住宅に関してはZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)等の環境面に加えて、防犯面での機能性の向上を求める声も日に日に高まっています。
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