普段通りオフィスのパソコンに向かっていると、携帯電話のSNSにカンボジアの友人からファイルが送られてきました。
その友人は今年の4月に当社のタイにおける業務提携先であるAREA社の勉強会で出会ったカンボジアの大手不動産鑑定会社、VTrust Appraisal社で市場調査部長を務めるホエム・セイハ氏。ファイルの内容は、今、カンボジアで最も熱いプノンペン・ダンカオ区のマーケットレポート(Dangkao District:Property Market Review Q1 2018)でした。
カンボジアは、昨年の一人あたりの名目GDPが約1,390米ドルでASEAN10カ国中9位、人口は1,600万人で同7位というインドシナ半島の小さな国です。しかしながら、リーマン・ショック以降経済成長率が7%程度を維持し、ASEANの中でも最も高い経済成長を遂げている国の一つでもあります。4月に参加した勉強会でも、参加者21人中、4人がカンボジア人と国別の参加率が最も高く、カンボジアの勢いを感じていました。
以下、 ホエム・セイハ氏のレポートの内容を抜粋して紹介します。
ダンカオ区の概要
ダン力オ区は、プノンペン中心部の南西約6kmに位置し、約111㎢の土地面積を有しており、区の大半は、農地や空き地であるが、近年一部地域で大幅な地価上昇がみられます。人口は108,000人で、この5年間で12%ほど増加し、プノンペンの中では2番目の規模です。
地価動向
ダンカオ区内の地価は、プノンペン中心部からの距離に大きく反比例しており、中心部から10kmの幹線道路沿いの㎡単価が450米ドルに対し、中心部から25kmでは10米ドルにしかなりません。
2012年から2018年までの6年間で中心部から10kmの地価は、㎡単価100米ドルから450米ドルにまで上昇し、年率35%もの上昇となっています。
住宅マーケット
ダンカオ区は、2017年まで低層住宅の供給量で国内3位となっています。2016年の住宅着工は4,000戸と大きな数字であったが、2017年は前年の着工件数が大きく膨らんだため、その影響で800戸と大幅に減少、2018年は再び回復して3,000戸を見込んでおり、 割安な地価に魅力を感じて都心部や他地域から転入してくる年率約8%の人口増加に対応する見込みです。
ダンカオ区の住宅開発では、デベロッパー各社はミドル層からアッパーミドル層にターゲットを定めて成功を収めており、97%がリンクハウスと呼ばれるタウンハウスタイプの住宅で、戸当たり価格は5万米ドルから6万米ドルとなっています。
なお、年間300戸未満の供給しかない富裕層向けの戸建住宅 (2軒続きの庭付き住宅も含む)の価格は、最低15万米ドルとなっています。
新空港計画
プノンペン唯一の空港であるプノンペン国際空港は、増加する旅客・貨物需要にこたえられなくなってきており、このたび新しい空港計画の認可が政府より発表されました。
新空港の場所は、ダンカオ区の南数kmに位置する湿地帯の多いカンダルスタン地区と報道されており、周辺の地価の上昇を促すだけでなく、大規模な湿地帯の地価をも上昇させると見込まれます。
当社は米国大手の不動産鑑定業者であるジョセフ・J.ブレーク・アンド・アソシエイツ社と長年にわたって業務提携しています。アジアにおいても、タイのAREA社、韓国のDAB社、ベトナムのTMSコンサルタンシー社といった実績のある大手不動産鑑定業者と業務提携し、お客様のニーズをグローバルな体制でサポートします。
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