ワンルームマンションNOI利回りアンケート雑考(2017年)

 当社では毎年末、提携する全国の不動産鑑定士に対してワンルームマンションのNOI利回りに関してアンケート調査を実施している。

最小値である東京山手線内は4.1%まで低下

 最小値は前回同様「東京23区(山手線内)」で、前回調査時点の4.3%から0.2%低下して4.1%となった。次いで「東京その他23区(山手線外)」が4.6%、「東京23区外」が5.2%、昨年「東京23区外」と並んで3位だった「大阪市」は5.4%とやや後退した。なお、上位10地域は以下のとおりである。

順位 地域名 NOI利回り
H28 H27(昨年順位)
東京23区(山手線内) 4.1% 4.3% (1)
東京23区(山手線外) 4.6% 4.8% (2)
東京23区外 5.2% 5.5% (3)
大阪市 5.4% 5.5% (3)
横浜市・川﨑市 5.5% 5.8% (5)
名古屋市 5.7% 6.0% (6)
さいたま市
神戸市
仙台市
5.8%
5.8%
5.8%
6.0% (6)
6.0% (6)
6.0% (6)
10 千葉市
京都市
福岡市
広島市
5.9%
5.9%
5.9%
5.9%
6.0% (6)
6.0% (6)
6.2% (7)
6.2% (7)
(2016年12月時点)

想定タイプ

構造 RC造
築年 5年
エレベータ
駅距離 徒歩5分
面積 25㎡/戸

マイナス金利は不動産市場にプラスに作用

 今回の調査結果では、順位に大きな変動はないものの、上位にランクインした地域では依然として利回りの低下傾向が続いている。下げ幅自体は昨年よりも縮小しているが、マイナス金利の影響で大量の資金が不動産市場に流入したことが大きい。特に、1位の「東京23区(山手線内)」はNOI Capで4.1%、NCFベースでは3.0%台に突入している可能性が高い。個人投資家や富裕層の増加により、多少高くても条件の良い物件を希望する投資家の姿勢に変化はみられない。

 東京圏以外では、同じ三大都市圏である大阪市や名古屋市をはじめ、地方の中核都市が名を連ねる。東京圏での低下傾向に合わせて地方圏でも似たような低下傾向が続いているように、東京圏での高値買いを嫌った投資家が投資対象を地方に広げている可能性もある。少子高齢化の進行とともに、地方ではコンパクトシティ化が進んでいる。したがって、少なくともレジデンスに関しては、地方を代表する中核都市と東京圏との利回り格差は長期的には縮小するものと考えられる。

景気の潮目と市場への影響

 ワンルームのマーケットは引き続き活況を呈しているように思われる。二極化の問題はあるが、条件の良い物件を購入できれば他の資産よりは高いリターンを得ることができる。また、個人投資家にとっては市場の透明性が高く、総額的に手頃感もある。一般にはオリンピックの1~2年前までと言われる今の景気だが、成熟したワンルーム市場は多少のブレを感じながらも全体としては堅調に推移することになりそうである。

鑑定統括部 神山 大典(不動産鑑定士)