不動産の経済価値は、価格としても表示されますが、賃料としても表示されます。そして、ひとつの不動産の上には所有権、賃借権などの複数の権利が存在することが可能であり、それぞれの権利について価格や賃料が形成されます。
例えば、賃貸アパートを買おうとしている人はそのアパートがいくらなのか、すなわち価格として捉えています。そのアパートの部屋を借りる人は、いくらで借りることができるのか、すなわち家賃(賃料)としてその部屋の価値を捉えているわけです。そのほかにも、借地権や地役権など、ひとつの不動産の上にはいくつもの異なった権利が同時に存在できるのです。
また、不動産、特に土地の特徴は、その場所を動かないこと、増えたり減ったりしないことが挙げられます。建物についても、そう簡単には動かしたり、増えたり減ったりはしませんね。
一方で、不動産はどのように使われているでしょうか?
一般的には、住宅街であったり、商店街であったり、昔から変わらない風景のところが多いかもしれません。
しかし、よく見てみると、工場がたくさんあったところがマンション街になっていたり、未利用地に太陽光パネルが設置されたりと、その時の社会経済情勢や人々の価値観によって使われ方、すなわち用途が変わる可能性を持っています。
不動産は、このような特徴に基づく、その時々の利用形態に応じて価格が形成されるわけです。
出典:不動産の価格|九段研社長 神山オフィシャルブログ
1965年生まれ。栃木県足利市出身。株式会社三友システムアプレイザル 取締役、株式会社九段経済研究所(当社子会社) 代表取締役。不動産鑑定士、MRICS。主な著書に「金融マンのための担保不動産の見方・調べ方」などがある。趣味は落語、競馬、ゴルフ、トライアスロン。