ワンルームマンションNOI利回りアンケート雑考(2016年)

 当社では、毎年12月に提携する不動産鑑定士に対して全国のワンルームマンションNOI利回りアンケートを実施している。

東京山手線内は4.3%まで低下

 最小値は前回同様「東京山手線内」で、前回調査時点の4.8%から0.5%低下して4.3%となった。次いで「東京その他23区(山手線外)」が4.8%、「東京23区外」と「大阪市」が5.5%で並ぶ結果となった。なお、上位10地域は以下のとおりである。

順位 地域名 NOI利回り
H27 H26(昨年順位)
東京23区(山手線内) 4.3% 4.8% (1)
東京23区(山手線外) 4.8% 5.3% (2)
東京23区外
大阪市
5.5%
5.5%
6.1% (4)
6.0% (3)
横浜市・川﨑市 5.8% 6.1% (4)
さいたま市
千葉市
名古屋市
京都市
神戸市
仙台市
6.0%
6.0%
6.0%
6.0%
6.0%
6.0%
6.2% (5)
6.8% (10)
6.6% (8)
6.4% (6)
6.2% (5)
6.5% (7)
(2015年12月時点)

想定タイプ

構造 RC造
築年 5年
エレベータ
駅距離 徒歩5分
面積 25㎡/戸

東京圏のみならず地方圏でも低下傾向が顕著

 今回の調査結果では、順位に大きな変動はないものの、上位にランクインした地域では総じて利回りの低下傾向が目立つ。特に、1位の「東京山手線内」は4.0%台前半、2位の「東京その他23区」も4.0%台に突入しており、3位以下を大きく引き離している。また、1位と2位の間でも0.5ポイントもの差がついているように、同じ23区内でも山手線内の物件に対する引き合いの強さは相変わらず際立っており、多少高くても条件の良い物件を希望する投資家の姿勢が鮮明なものとなっている。

 3位以下は、三大都市圏である大阪市や名古屋市をはじめ、地方の中核都市が名を連ねる。3位から10位では、「東京23区外」、「大阪市」、「横浜市・川崎市」の3地域が5.0%台で、それ以外の地域は6.0%で並ぶ結果となった。全国的に利回りは低下傾向にあるが、特に東京都心部の利回りが低下しているため、投資家がより高い利回りを求めて地方に投資対象を拡げている可能性も考えられる。

今後の動向は?

 全体として、ワンルームマンションのマーケットは引き続き活況を呈しているようにも思われる。また、マイナス金利の導入による資金調達コストの低下により、好調なマーケットが今後も継続する可能性も出てきた。一方で、レジデンス系不動産投資市場の過熱感も囁かれており、今後の動向については非常に判断が難しい局面にさしかかっていると言えるだろう。

鑑定統括部 神山 大典(不動産鑑定士)


  1. ワンルームマンションNOI利回りアンケート雑考(2014年12月時点)
  2. ワンルームマンションNOI利回りアンケート雑考(2016年) <- 本記事
  3. ワンルームマンションNOI利回りアンケート雑考(2017年)
  4. ワンルームマンションNOI利回りアンケート雑考(2018年)