藤代 純人」タグアーカイブ

私の負動産対策

 年明けには戦後最長(6年2ヵ月)と謳われた最近の好景気ですが、春先には中国経済の減速に伴って製造業の一部に減産等の動きが見受けられました。その後の景気判断である「緩やかな回復」もどことなく歯切れの悪い印象を受けますが、不動産市場では3,000 万人を突破した訪日外国人観光客や新東名・新名神等の高速道路網の整備拡充等が追い風となっており、投資物件に関しては賃料・空室率・利回りのすべての項目がピークと思われる水準に達しています。 続きを読む

私とアパートローン

 2015 年の相続税改正に伴い、一般に節税効果が高いとされるアパート建築が加速し、アパートローンは金融機関の主要な収益源のひとつとなりました。しかし、人口減少社会の日本でこのまま建築ラッシュが続けば、いずれはアパートの大半は空室だらけという事態(いわゆる大空室時代)を招くことにもなりかねません。そうなれば、もともと土地を持っていた地主層はともかく、家賃収入を見込んで土地建物のローンを組んだサラリーマン大家層はデフォルト(債務不履行)状態に陥り、大量の不良債権が発生することになります。その手始めなのでしょうか?春先には女性専用のシェアハウス業者が経営破綻し、資料の改ざんや、改ざんを認識しながら融資を実行していた金融機関の経営責任が大きな社会問題となっています。 続きを読む

グロスとネット

 不動産のバリュエーション(評価)に際しては、「グロス」(gross:総体の)や「ネット」(net:正味の)という言葉がよく使われます。両者は、どちらが望ましいというものでもないのですが、前提条件を間違えて議論をしていると思わぬ誤解を招くことになります。今回は、両者の概念が併存する収益査定項目について考えてみました。 続きを読む

私のバリューアップ

 このところ、古くなったオフィスビルを高級賃貸マンションに建て替える話や、低迷する中古住宅市場を活性化するための施策等に関する話をよく耳にします。オフィス市場(東京)では、2020 年に向けて大型ビルの大量供給が続きますが、最近は中型でも設計や設備水準に優るビルは稼働率が高まっています。こうしたビルは、周辺相場と比べて賃料は割高になりますが、人材獲得面でのプラス効果等を見込んで入居する中堅企業が増えています。また、オフィスに関しては、働き方改革の一環で執務スペース内にカフェを設けて他部門との交流を図ったり、ベンチャー企業が中心のシェアオフィスでは共用会議室を充実させて異業種企業間の交流を図るような取組みが行われています。 続きを読む

私はどうなるAI社会

 2017年は、人工知能(以下、AI )が大きな注目を集めました。将棋や囲碁等の話題をはじめ、連日のようにマスコミで取り上げられ、今も産業界の各方面でその研究が続けられています。

 AI の研究は、音声・画像・言語・情報・推論等の様々な分野に及びますが、研究は大きく二つの立場に分かれます。ひとつは「人間の知能そのものを持つ機械を作ろうとする立場」、もうひとつは「人間が知能を使って行う作業を機械にやらせようとする立場」です。「人工知能」という言葉からは前者を連想しがちですが、実際には、研究の大半は後者の立場に立っています。つまり、AIは自分で何か新しいことを考えるのではなく、特定のデータに基づく行動パターンを習得していることになります。ただし、いわゆるディープラーニング(深層学習)の能力を持つAIは、物体の特徴を自力で学習し、人間と同じように物体を識別することができます。 続きを読む

収益計算で用いるCAPEX(資本的支出)について

 収益還元法では、総収益から総費用を控除して純収益(NOI)をまず求め、このNOIからCAPEXを控除して正味純収益(NCF)を求めます(NCF÷利回り=収益価格)。CAPEX(キャペックス)という言葉は「Capital Expenditure」の略語で、収益計算の実務では「資本的支出」や「大規模修繕積立金」等と訳されます。今回は、言葉の定義がやや曖昧な感じもするこのCAPEXについて考察します。 続きを読む

私のアセットタイプ

 2001年に誕生した国内リート市場は、2017年3月末時点で上場58銘柄、時価総額では11.9兆円の規模にまで成長しています。昨年は、前半こそ過熱した不動産市場を不安視する声も聞かれましたが、後半はマイナス金利が追い風となって大量の資金が市場に流入する結果となりました。

 証券化不動産の多様化に伴い、最近の証券化制度は単なる投資の枠を超え、街づくりを通じて社会的な意義や貢献が求められるようになっています。株式投資にも似たような側面はありますが、特定の事業分野にダイレクトに投資できる点では証券化制度のほうが仕組的に優れています。今回は、既に証券化の対象となっている不動産や、今後証券化の対象となりそうな不動産等について、当社と業務提携関係にある全国の不動産鑑定士にアンケート調査を行いました。なお、文中のカッコ書き(都道府県名)は回答者の事務所の所在地を示すものです。 続きを読む

私が見たインバウンド

 お陰様で、当コラムも2回目を迎えることができました。今回は、国内経済に多大な影響を及ぼしている訪日外国人観光客の動向にスポットを当て、インバウンド市場の現状や今後の課題等について当社と業務提携関係にある全国の不動産鑑定士にアンケート調査を行いました。 続きを読む

実務で用いる各種利回りの落とし穴

 前回のコラム「実務で用いる各種利回りの再確認」では、不動産の価格や賃料を求める際に用いる各種利回りの意味や性格について述べました。しかし、本当は利回りの数値としての妥当性だけから投資の安全性を判断することはできません。当たり前の話ですが、利回りが還元の対象としている純収益の精度が問題となります。純収益とは、総収益(賃料収入等)から総費用(運営コスト)を差し引いた純利益のことですが、その大小は総収益と総費用の査定方法に大きく依存しています。純収益は、実務では意外とブレ幅が大きいものなのです。 続きを読む

私の景気バロメーター

 不動産の鑑定評価に際しては、対象不動産の存する地域の動向や、土地と建物についての個別的な分析を行う前に、その前提として一般的な景気動向を把握すべきものとされています。
 それでは、不動産鑑定士は普段、新聞やテレビ以外ではどのような視点から景気の良し悪しを判断しているのでしょうか? 続きを読む