投稿者「三友システムアプレイザル」のアーカイブ

実務で用いる各種利回りの落とし穴

 前回のコラム「実務で用いる各種利回りの再確認」では、不動産の価格や賃料を求める際に用いる各種利回りの意味や性格について述べました。しかし、本当は利回りの数値としての妥当性だけから投資の安全性を判断することはできません。当たり前の話ですが、利回りが還元の対象としている純収益の精度が問題となります。純収益とは、総収益(賃料収入等)から総費用(運営コスト)を差し引いた純利益のことですが、その大小は総収益と総費用の査定方法に大きく依存しています。純収益は、実務では意外とブレ幅が大きいものなのです。 続きを読む

資産管理アドバイスのための空家対策特別措置法への対応

成立の背景

 空家等対策に関する特別措置法(空家対策特別措置法)が、平成27年5月26日に全面施行されました。
 この法律は、適切な管理が行われていない空家等が防災、衛生、景観等の地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしている現状に鑑み、地域住民の生命・身体・財産の保護、生活環境の保全、空家等の活用のため対応が必要であるとの観点から制定されたものです。 続きを読む

私の景気バロメーター

 不動産の鑑定評価に際しては、対象不動産の存する地域の動向や、土地と建物についての個別的な分析を行う前に、その前提として一般的な景気動向を把握すべきものとされています。
 それでは、不動産鑑定士は普段、新聞やテレビ以外ではどのような視点から景気の良し悪しを判断しているのでしょうか? 続きを読む

ワンルームマンションNOI利回りアンケート雑考(2016年)

 当社では、毎年12月に提携する不動産鑑定士に対して全国のワンルームマンションNOI利回りアンケートを実施している。

東京山手線内は4.3%まで低下

 最小値は前回同様「東京山手線内」で、前回調査時点の4.8%から0.5%低下して4.3%となった。次いで「東京その他23区(山手線外)」が4.8%、「東京23区外」と「大阪市」が5.5%で並ぶ結果となった。なお、上位10地域は以下のとおりである。

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賃貸住宅市場の光と影 ~なぜアパートローンは収益性で評価しなくてはならないか~

 総務省統計局が5年ごとに実施している住宅土地統計調査によると、平成25年10月1日時点で、日本には約820万戸の空家が存在します。このうち半分以上の約430万戸が賃貸用の住宅で、さらにその90%近い約370万戸を共同住宅、つまり賃貸アパートや賃貸マンションが占めています。 続きを読む

実務で用いる各種利回りの再確認

 金融や不動産の世界では、キャップ(レート)という言葉がよく使われる。簡単に言えば「利回り」のことであるが、一口に利回りといっても、その種類や性格は多岐にわたる。還元利回り、期待利回り、取引利回り、粗利回り、NOIcap、NCFベース、DCF法における割引率と最終還元利回り等々、それぞれの利回りの意味や性格をきちんと把握しないで議論をしていると思わぬ誤解を招くことになる。 続きを読む

相続税対策で建てられたアパートの評価方法について

 アパート事業者から話を持ちかけられ、相続税対策で建てたアパートの稼働率が上がらず、地主が窮地に追い込まれる…。地方では昔からよく聞かれた話である。

 しかし、今回の相続税改正で基礎控除が大幅に縮小された結果、東京23区では納税予定者が5倍に増えており、このアパート問題も今後は地方だけの問題ではなくなりつつある。 続きを読む

過熱する不動産市場における収益還元法の適用について

 昨年の秋、約11年ぶりに不動産鑑定評価基準が改正された。鑑定評価の全範囲にわたって論点は多かったが、手法的には原価法が中心の改正であり、過熱する不動産市況を制度面で支えているはずの収益還元法にはあまり触れていなかった。今回は景気の局面と手法の適用について考えてみたい。 続きを読む