今回はご依頼件数が急増中の「農業機械」についてご紹介します。就業人数の減少や就業者の高齢化など、人手不足が深刻な農業・酪農業・畜産業の現場では必要不可欠な農業機械ですが、本コラムではトラクターに着目したいと思います。
トラクターはそれ自体で何か作業を行うものではなく、アタッチメントを取り付けることで様々な機能を発揮します。ロータリー(耕うん)が代表的ですが、モアコンディショナー(草刈り)やマニュアスプレッダー(肥料散布)など、用途に合わせたアタッチメントが存在します。また、トレーラー台車を牽引することで運搬車としての役割を果たすこともできます。
機械分類としては「農業機械」になりますが、評価手法は一般的な機械設備と同様にコストアプローチ、マーケットアプローチ、インカムアプローチの3手法の適用を検討しますが、単体での収益を算出することが難しいため、インカムアプローチの適用が困難なケースがほとんどです。
マーケットアプローチを適用する際には取引実績事例が重要な情報となります。しかしトラクターの場合、昨今の農業情勢の影響もあり取引自体が減少しています。さらに、トラクターは1台あたり数千万円もするものも多く、実物を見ずにネット上で、しかも中古で購入するケースはほとんどありません。そのため事例の収集が難しい場合も多くあります。また、トラクター単体での取引ではなく、アタッチメントとセットで取引されている場合も多いため、事例の収集には特に注意が必要です。
実際の評価事例では、対象が海外メーカーかつ超大型のトラクターだったため、地場の中古トラクター取扱い企業へのヒアリングを重点的に行いました。すると、車両や建設機械と同様にトラクターも走行距離(時間)を重視して価格を決定しますが、たとえ故障していても部品取りのために一定水準の価格で取引されることもあり、なかには牧場等のモニュメントとして飾るために購入する人もいるということが分かりました。
トラクターも基本的な評価方針は他の機械設備と変わりませんが、改めて動産評価の際にはその資産の特徴や取引時の慣例を知ることが大切なのだと実感しました。

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