-動産評価精通者への道のり-輸入機械

先日、国内メーカーの機械設備ではなく、海外メーカーの輸入機械(食肉加工機)の動産評価を行いましたので、今回はその内容を紹介します。

機械設備評価には、「新規再調達コスト」を求める重要なプロセスがあります。調達先が海外かつ特殊な機械の場合には、導入コストの変動を正確に見積もらなければなりません。本件では、アイスランド製の食肉加工機のため、近年大きく変動した為替相場や物価変動の影響を「傾向係数」として反映する必要がありました。

新規再調達コスト = 当初取得コスト × 傾向係数 - 超過資本コスト※

※現行機種のため、超過資本コストは不要


ただし、本件では対象機械を取り扱う国内代理店が為替や外国物価の変動を吸収して日本円で販売しているため、当該代理店へ直接ヒアリングを行い、販売価格の変動率を確認しました。念のため、アイスランドクローナ/円の為替レート変動とアイスランド国内の物価変動とを照合しましたが、販売価格の変動率と概ね一致したため、販売価格の変動率をそのまま傾向係数に採用し、新規再調達コストを求めました。2年前と比較して2割アップの結果でした。

なお、最終的な評価額を求める際には、中古製品を取り扱う業者へのヒアリングを実施することで2年経過の中古機械のマーケット水準を確認し、コストアプローチに基づく価格の検証を行い、機械設備の評価額を決定しました。

今回の動産評価を経験することで、輸入機械は為替変動や海外国の物価変動に大きく左右されることを実感するとともに、食品加工用の機械設備は、その利用の特性から衛生面での条件も相まって、一般的に中古市場での価格水準は経過年数とともに大きく減少する傾向にあることを把握できました。様々な業界に広く精通していくことは、動産評価人にとって重要な資質であると改めて思い知らされました。まだまだ動産評価精通者への道は長いです。



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